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土地探しのコツ|境界・越境・道路付け:見落とすとコストになる“線”の話
											 
										
土地探しのコツ|境界・越境・道路付け:見落とすとコストになる「線」の話
理想の住まいづくりは、最初の一歩をどう踏み出すかで到達点が変わります。
とくに土地探しは、家づくり全体の質と総予算を左右する最重要項目です。
ここでは、「何から始め、何を基準に決めるのか」を整理しながら、
理想の土地を見つけるための考え方をまとめました。
「なかなか土地が見つからない」「何から始めたら良いか分からない」「どう探したら良いか分からない」
そんなお悩みをお持ちの方に、ぜひご覧いただきたい内容です。
アーキプロダクツでは、建築家の視点で「暮らしやすさと設計の自由度」を両立できる土地選びをサポートしています。
目次
5,現地調査のコツ:面積・形状・高低差、前面道路の読み解き、曜日・時間・天候で土地は表情を変える
9,見つからない時の打開策:エリア拡張/条件緩和/古家・建築条件付
現地調査のコツ
境界・越境・道路付け 見落とすとコストになる「線」の話
土地の価値を決めるのは、広さや方角だけではありません。
図面や現地では見えにくい「線」。
つまり、境界・越境・道路付けも、建築計画とコストに大きく影響する重要な要素です。
ここを曖昧なまま契約してしまうと、後に追加費用やトラブルが発生することがあります。
今回は、建築士の視点から見た「線」の確認ポイントをわかりやすく解説します。
1.境界線:曖昧なまま契約しない
隣地との境界線は、土地の所有範囲を示す最も基本的な線です。
しかし、現地でその線が正確にどこかを把握できていないケースは少なくありません。
境界が曖昧なまま契約を進めてしまうと、
のちに「隣地とのトラブル」や「敷地を想定より狭く使わざるを得ない」といった事態になることがあります。
確認のポイントは次の3つです。
・境界杭がすべての角に設置されているか
・登記簿や確定測量図があるか
・境界標がズレていないか、破損していないか
もし確定測量図がない場合は、売主に「境界確定測量」を依頼しましょう。
測量には10万〜50万円ほどの費用と1〜2か月の期間がかかることがありますが、
その分、後々の安心につながります。
また、土地購入の際には、契約前に行われる「重要事項説明」の中でも、
境界や隣地との関係についての説明が必ずあります。
ただし、すべてを不動産会社任せにせず、
疑問点があれば事前に自分でも現地で確認し、納得してから契約することが大切です。
2.越境物:見逃すと撤去費が発生
隣地や道路に越境物がある場合も要注意です。
越境とは、塀・樹木・屋根・雨樋などが境界を越えて、
他人の敷地に入り込んでいる状態を指します。
この越境があると、
・建て替えの際に撤去費用がかかる
・隣地所有者との交渉が必要になる
・登記や融資の審査に影響する
といったリスクが発生します。
現地見学の際には、
「塀やフェンスの位置が境界線と一致しているか」
「隣地の木の枝や屋根が越えていないか」
を必ず確認しておきましょう。
小さな越境でも、撤去・補修に数十万円規模の費用がかかることがあります。
購入前に気付ければ、価格交渉や是正対応を求めることも可能です。
また、この越境に関する情報は、
契約時の「重要事項説明」の中で必ず説明される項目です。
ただし、図面や書類上の説明だけでは細部まで分からない場合もあるため、
現地で実際に目で確認し、必要であれば写真を撮っておくことをおすすめします。
3.道路付け:建てられるかどうかを決める条件
土地がどのように道路に接しているか(=道路付け)も、
建築の可否を左右する重要な要素です。
建築基準法では、建物を建てるためには
「幅員4m以上の道路に2m以上接していること」が義務付けられています。
この条件を満たしていない土地は、再建築不可となり、
原則として、建て替えや増築ができません。
また、前面道路の種類にも注意が必要です。
・公道:自治体が管理しており、原則として建築可能
・私道:個人や複数人で所有。通行や工事に他者の承諾が必要になる場合あり
私道に面した土地は、権利関係や持分割合を確認し、
水道やガスなどのインフラを引き込む際に支障がないかもチェックしておきましょう。
さらに、道路の幅員が4m未満の場合は、
セットバック(道路後退)が必要になります。
道路中心から2m下がった位置までが建築可能範囲となるため、
想定より建築面積が減ることがあります。
4.地積と実測の差に注意
登記簿に記載された地積(面積)と、
実際に測量して得られる実測面積が異なる場合もあります。
特に古い土地では、登記面積よりも小さいケースが多く、
想定より建てられる建物の大きさが制限されることがあります。
土地購入の前に、
「実測面積での契約か」「登記面積での契約か」を必ず確認しておきましょう。
5.確認のタイミング
これらの「線」に関する確認は、契約前に行うのが鉄則です。
契約後に問題が発覚しても、
売主の負担で修正してもらうのは難しい場合があります。
気になる点があれば、契約前に仲介業者や建築士に相談し、
現地を一緒に確認してもらうと安心です。
まとめ
・境界線は杭と測量図で正確に確認する
・越境物は小さくても後に費用がかかる可能性がある
・道路付けは建築可否に直結するため、必ず条件を確認する
・地積は登記と実測で差がある場合がある
・「線」の確認は契約前が原則
境界や道路など、わずか数センチの違いが数十万円の差になることもあります。
「線」を曖昧にせず、正確に理解することが、
安心して土地を購入するための第一歩です。
アーキプロダクツでは、設計士が建築の視点から境界や道路条件をチェックし、
設計自由度とコストのバランスを考えた土地診断を行っています。
土地探しの段階で一度ご相談いただくことで、
見落としがちなリスクを早期に防ぐことができます。


